法面抑止工=アンカー工
崩壊斜面や道路法面の安全を確保するため、グランドアンカー工があります。グランドアンカー工は主に数m以上ボーリングマシンにより削孔し、テンドンといわれるアンカー体を挿入する技術です。セメントミルクにより安定した地山に定着し、法表面の受圧板を一体とした構造物を造成するものです。テンドンはPC鋼より線の場合が多く、大きな引張力が必要な場合は線径を大きくしたり、本数を多くします。受圧板は吹付法枠工や、軽量受圧板を使用します。
工事場所:日光市中宮祠
法面抑制工=ロックボルト工
ロックボルト工は本来、岩塊を固定する工法の名称でしたが、近年は土中に鉄筋(補強材)を挿入打設する補強土工法として使用されています。法面で予想される表層滑りや小崩落に対し、補強材の相互作用により安定を図ろうとするため、本体長は5m以内が多く頭部定着には鋼製のプレートを使用します。ただし地表が土で緑化を伴う場合は樹脂製の簀子タイプのものが使用されることがあります。
工事場所:佐野市仙波
修繕工=繊維補強モルタル吹付工
従来は老朽化したモルタル・コンクリート吹付は取壊し、新たに吹き直しをしていました。本工法は取壊しによって発生する大量の産業廃棄物の発生を抑制し、老朽化したモルタル吹付面にポリプロピレン等の短繊維モルタルを増厚吹付して一体構造物として再生・長寿命化を図ることが可能です。この時空洞化が見られれば充鎮工を行い、剪断ボルト等を併用して対応します。
工事場所:日光市滝
落石予防工=ロープ伏せ工
雑木・植林の伐採が最小限で施工できます。 | 網目状に構成されたワイヤーロープの間に立木を通すことができますので、最小限の伐採で施工ができ、自然林の緑の美観を損ないません。 |
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斜面の浮石を安定させます。 | 柔軟性に富んだ強度の高いワイヤーロープを法面に密着して張り、点在する浮石を押さえ込む工法ですので、ある程度の大きな浮石の転落を防止し、斜面を安定させます。 |
施工性に優れています。 | 使用材料および使用機械は軽量ですので、施工が容易です。 |
仮設としても優れています。 | 切取り法面の下に道路あるいは構造物がある場合、法面に仮設として設置し、法尻に仮設柵を併用すればある程度大きな落石を防止でき、上から順に撤去しながら切取りが安全に進められます。 |
部分的に金網も併用できます。 | ロープのマス目50㎝から洩れる浮石等がある箇所には金網を併用し落石防止することも可能です。 |
写真 ケーブルネット 覆式落石防止網
高エネルギー吸収型落石防止柵工
(ハイジュールネット工法)
ハイジュールネットの特長
- 1本のワイヤロープを特殊な手順で格子状に形成し、ワイヤロープの交点をクリップ金具で、しっかりと締結したケーブルネットを使用しています。ブレーキエレメント(緩衝材)が、大きな落石エネルギーをしっかりと吸収します。
- 250kJ~3000kJまで、スイスのWSL(スイス連邦研究所自然災害部)の元で行われる実証試験で認証されています。
- 地盤の状況に応じ、アンカー材を選択致します。ケーブルアンカー、PC鋼棒は実験データを基にして、計算により定着長を定めます。
- 一度落石を受けても、現地にて簡易な補修で機能を回復いたします。不具合のネットを全面取り替えには及びません。
- 日本国内の地形にあった仕様で、落石条件に応じた柵高、支柱間隔を選ぶことが出来ます。支柱の固定部は、ピン構造となっており、支柱に直接落石が衝突してもピンボルトがせん断し、システムを維持する柔構造になっています。
- 斜面上では、大がかりな基礎を必要としません。樹木の伐採も最小限にとどめ、現状を変えることなく設置することが出来、周辺環境と同化します。
- 設置場所の地形も地質も制限を受けることなく設置が可能です。
高エネルギー吸収型土砂防止柵
<特徴>
◎捕捉性能
崩壊した土砂を、強靭で柔軟なケーブルネット(ハイジュールネットのシステム)で補足します。
崩壊が想定される土砂の衝撃力と補足容量に対して、十分な安全性を有して、保全対象を守ります。
◎すりぬけ防止の金網により、土砂の流出を最小限に押えます。
◎衝撃力を吸収するブレーキエレメントは、作動量に関して十分に余裕のある性能を有します。
土砂抑止工
実証実験で耐災害性能を確認
防災商品群は、危険と思われる現地の状況やお客 様の要望に合わせて工法提案し、防災・減災の基盤 整備に応えるための商品です。ネット工法商品は、 落石や土砂エネルギーに耐える強さと吸収する 柔軟性が求められ、落石の衝突エネルギーを想定 した重錘落下試験や崩壊土砂の実証実験を実施 し、確認しています。
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- 重錘落下試験
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- 崩壊土砂実証実験